リスク管理にオススメなボラティリティを把握できるテクニカル指標
『ATR』について徹底解説してみました。
ATRとは
ATRとは『Average True Range』の頭文字を取ったもので、
平均的な一日の値動きを意味しています。よく『真の値幅の平均』と言われたりします。
ATRはJ・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアが1970年半ばに考案したテクニカル指標になります。
ATRの他にもパラボリック、DMI、ピボットなど数々のテクニカル分析を生み出してる方です。
『タートル流投資の魔術』という有名な書籍でも使用されています。
日本ではあまり利用しているトレーダーは少ないですが、
海外ではかなり人気なテクニカル指標です。
ATRは『価格変動の度合い(ボラティリティ)を計測するため』のテクニカル指標になります。
ATRの計算式
ATRでは平均的な一日の値動きを計算するので、
最初にまず一日どれくらい動くのかを計算してその後に平均値を出すという計算になります。
具体的な計算をしていきます。
まず、一日の最大の値動きTR(True Range)を計算していきます。
②:前日の終値と当日の安値の差→前日終値-当日安値
③:当日の高値と当日の安値の差→当日の高値-当日の安値
この中で最も大きいものがTRになります。
そしてTRの平均値を計算していきます。
計算式は非常にシンプルですね。
ATRの特徴
ATRの特徴について説明します。
・相場の動きを予想するものではない
資金管理やリスク管理に利用しやすい
ATRは主に資金管理やリスク管理に利用します。
ATRが価格の見込み利益やリスクを表しているので、
どのような通貨ペアなどでも同様に扱うことが可能です。
相場の動きを予想するものではない
ATRは基本的に『変動率(ボラティリティ)』の大きさを表しているだけなので、
相場の動きを予想するもではないです。
ATRのトレード方法
ATRのトレード方法について説明してきます。
・損切り幅や利確幅の目安にする
ボラティリティ(価格変動)を把握する
ATRのトレード方法はシンプルです。
ATRが下落傾向→ボラティリティ(価格変動の度合い)が減少→レンジ相場
トレードにおいてボラティリティがどのように影響するのかというと、
ボラティリティが高いと利幅大きくなりますが、その分損失が発生するリスクが増大します。
ボラティリティが低ければ、損失が減りますが、取れる利幅も小さくなってしまいます。
つまり『ボラティリティ=諸刃の剣』であるということです。
ボラティリティが大きい場合 | ボラティリティが小さい場合 | |
利幅 | 大きい(メリット) | 小さい(デメリット) |
損失幅 | 大きい(デメリット) | 小さい(メリット) |
また、ボラティリティはトレードの時間帯によっても大きく変わってきます。
ロンドン時間:ボラティリティが高い
ニューヨーク時間:ボラティリティが高い
東京時間・ロンドン時間・ニューヨーク時間については以下の記事を参照してください。

損切り幅や利確幅の目安にする
ATRは損切り幅や利確幅の目安にすることが可能です。
というのも、ATRの計算式は『直近n期間の最大変動幅の平均値』ですよね。
もし期間14であれば過去14本分のローソク足の最大変動幅の平均化したものがATRです。
つまり、直近のローソク足のへ動き幅の平均値を知れば、
今後どれだけの値幅で動くのかの目安にすることができます。
予想される値幅の目安が分かれば、トレードの利確幅や損切り幅に活用できます。
例えばドル円の日足のATRが『ATR(14) = 0.3611』なので、
直近14日間の最大変動幅の平均値(EMA)が0.3611円(36.1pips)です。
つまり、過去14日の平均最大値動き幅が約36pipsぐらいであることがわかります。
利確幅や損切り幅の目安は、基本的にATR値の『2〜3倍』に設定することが多いです。
今回のATRですと、約36pipsなので以下のように計算します。
2ATR(2倍) | 3ATR(3倍) | |
利幅 | 72pips | 108pips |
損切り幅 | 72pips | 108pips |
世界中のATRを利用しているトレーダーも同様に『2〜3倍』で設定しているので、
そのラインにはTPやSLが集中していることが多いです。
一つのTPやSLラインとして活用することも可能です。
ATRと組み合わせると良いテクニカル指標
ATRと組み合わせると良いテクニカル指標について説明していきます。
・ADX
移動平均線
ATRは計算式に元々移動平均線を活用しているので良い組み合わせですね。
移動平均線については以下の記事を参照してください。

また、移動平均線でも特に強いトレンドであるパーフェクトオーダー状態で
ATRのボラティリティが確認できれば、
上手くトレンドフォローとしてエントリーすることができます。
パーフェクトオーダーについては以下の記事を参照してください。

ADX
ADXはトレンドの総合的な強さを測定するために特に役立つテクニカル指標ですので、
ATRと組み合わせてトレンドの強弱などを判断するのも良いです。
ADXについては以下の記事を参照してください。

ATRのインジケーター
ATRのインジケーターについてご紹介します。
・ATR_Chart_Daily
ケルトナーチャネル
ケルトナーチャネルとは先物市場のトレーダーである
チェスター・ケルトナーによって考案されたテクニカル指標です。
移動平均線をベースにその上下にATRのラインを加えて
3本のラインを表示させるインジケーターです。
ATR_Chart_Daily
ATR_Chart_Dailyは前日と当日のATRの数値を表示してくれるインジケーターです。
Prev ATR(Previous ATR):前日のATRを表示
といちいち計算しなくても、どれだけ動いていなのかを表示してくれるので便利です。
ATR_Chart_Dailyのダウンロードはこちら
まとめ
今回はATRについてご紹介しました。
ATRはトレンドフォローでも逆張りでも上手く活用することで、トレードが安定します。
やはり大切なのはボラティリティでどれだけ相場が動くのかさえ分かってしまえば、
トレンドにも乗れますし、逆張りも行うことができます。ぜひATRを活用してみてください。
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